宅配便だったら戸口配達で玄関に置いていくだけですが、私らは、製品ができあがり、お客様のお部屋に据付完了するまでが仕事です。

たくさんの桐たんすを運んで据付してますが、たいへんだったところをご紹介。

・某古いアパートの4階。
こういうところは、エレベータがないし階段も狭い。和たんす、昇りたんすは、スイスイいだったが、洋たんすが、階段では無理。それで、ロープで吊り上げることにしたが、さすがに4階まであげるのは、たいへん。幸いアパートが5階建てだったので、5階からロープをさげて、4階に引き込みましたが、4階建てで、4階となると、最後の最後が上がらないのでした。このときは、私とこから2名。家具店さまから1人。でしたから、とてもたいへんでした。軽い桐たんすですらこうでしたから、他の材の家具ではこの人数では無理だったと思います。

・回り階段
建築家の方は、家具を入れるという前提で設計なさらない方があるようで、回り階段は、家具を入れる場合、熟練してないと、あちこちぶつけてしまいます。こういうところでは、一段一段、一歩一歩、で進みます。これまたたいへんです。

・窓から入れ込む
別注を頼まれ、家まで行って採寸。洋服たんすの一本立ち(継ぎ目なし)。こういうタイプはでかいですから扱いにくいです。窓から入れられるといったものの、車が家の側に横付けにできるのではなく、1m幅の水路が道路と家の間にあったのです。アルミ車のトラック上に一旦、たんすを揚げ、そして、板で窓とトラックを繋ぎ、部屋にいれましたが、私の方からは4名、お客様にも手伝っていただき2名。計6名で、ギリギリやっと入りました。状況は分かってましたので、しっかり準備はしていったものの、たいへんでした。

・瓦屋根
瓦屋根づたいに窓からいれる場合、瓦で滑ることもですが、瓦が割れないようにも気を遣います。こういうところでは裸足です。靴や、靴下では滑るのです。毛布をたくさん引き。屋根に上げてからも、とにかく10cm刻みでゆっくりゆっくり。パリっといったらおしまいですから。

・部屋からベランダに抜けて
回り階段でやっと2階にやっとあげたと思ったら、ドアの手前が狭くて、入ると思っていたのが、どうしても入らない。階段を降ろして外からとも行かない。それで各部屋をよく拝見。通路をいかに確保するかが問題。こういう時はアイデアとヒラメキです。その時は、別の部屋に一旦入れ込み、そのあとベランダにでで、ドアをネジを抜きはずし、そしてやっと据え付けた、ということもありました。

いろんな所がありますが、左右、上下、1mmで通過したこともあります。どうしても入らなかったという経験はありません。職人が丹誠込めて作った桐たんす、最後の最後の据付でキズでもつけたら、お客様にはご迷惑をかけることとなり、また職人には合わせる顔がなくなります。ですから、そこは、まさしくプロ根性です。据付が終わるとほんとにホットします。