某家具店様が、「お客様が古いタンスの鍵を無くして困っておられる、何かあんたのところにない?」と尋ねにこられた。タンスの鍵といったら、鉄砲錠(写真左中央)といって、真ん中に穴があいているもので、ほとんどのタンスは、この鍵が使われてます。タンスの鍵は子供が触らぬ程度のものです。
まぁ、そんなことは家具屋では常識ですが、よくお話を聞けば、お困りのタンスは、約80年ほどの前のたんす。貴重品を入れていた引出に鍵が掛かっていてどうしても開かない。"鍵の110番"に来てもらいましたがダメだったということ。
家具屋さんも頼まれたものの、たんすはお客様のところにあり動かせない。鍵といっても"鍵の110番"も諦めたほどの特殊な鍵。私のところが、古いたんすを再生しているということを思い出されてこられたのでした。
もう、何百も家具の再生やってますから、鍵を取り替えてあげることもあり、また、持ってこられて、引出が開かないものもあるので、いただいた鍵は保管していたのでした。昔の鍵には、金具職人のこだわりが見えます。形もいろいろ、サイズもいろいろで、あらためて感心します。
どれか合うことを願いつつ、すべてお貸し致しました。お客様は鍵の形を覚えていたらしく、数ある中から一発でこの鍵!!と取られ、引出が開いたそうです。すごく感動されたようで、お客様からいただいたと、お酒やらお菓子やら、おまけにご祝儀まで持ってこられ、恐縮でした